データ解析

データ解析の流れ

SMILESのデータ解析は、大きく3段階に分かれます。
   Level 1b:観測されたサブミリ波放射スペクトル
   Level 2:分子毎の存在量高度分布
   Level 3: クイックルックページで示しているような気候値データや、日変化や季節変動など、
       私たちが知りたい情報を視覚化したもの。
Level 2、Level 3のデータ処理は、NICTサイエンスクラウドシステムによって行われています。

Level 1b:サブミリ波放射スペクトル

地球大気から放出されたサブミリ波は、SMILESによって電気信号として取得されます。この電気信号を物理的な意味を持つスペクトルデータに変換します。具体的には、横軸に周波数、縦軸に放射輝度としてグラフ化します。分子によって放出するサブミリ波の周波数は特定されている(例えばオゾンは625.371 GHzのサブミリ波を放出します)ため、周波数毎にその放射輝度の大きさを調べることで、どの分子がどのくらい存在するのかを推定することができます。

Level 2: 分子存在量高度分布

Level 1bのサブミリ波放射スペクトルから、分子毎にその存在量高度分布を推定します。SMILESは地球大気をリムで観測するため、そのスペクトルには様々な高度の情報が重なっています。これらは高度毎に完全に分解することはできないため、解析によって解を一つに限定することはできません。そこで我々は、最大事後確率推定法をいう方法を用いて、確率論を駆使して最も確からしい高度分布を推定します。

Level 3: 気候値や季節変化、グローバルマップなどの視覚化データ

Level 2データは、ある時間ある場所における分子の高度分布の情報を持っています。これを組み合わせることで、例えばある地域における分子存在量の時間変化や、ある時間における分子存在量のグローバルマップを得ることができます。





データ検証

データの信頼性を評価する

データを提供する側も扱う側も、そのデータの信頼性を常に意識することは大切です。一般に地球観測では、実験室で行う実験と異なり、そのデータの再現性を確認することができません。そこで我々は、他の観測器によって同じ時間、同じ場所で観測されたデータとの比較や、またはシミュレーションによって解析結果に誤差を与える要因を調べることで、データの信頼性を評価しています。SMILESミッションにはこのデータ検証に関するオフィシャルなプログラムはないため、研究ベースでデータ検証を行っています。


SMILESのデータ検証フロー


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