SMILES では、超伝導ミクサ (SISミクサ)を使用した高感度な受信機を構成しています。超伝導ミクサは、絶対温度 4 K (4 ケルビン、摂氏 -269度) 近くに冷やさなければ使用できません。 SMILES では、機械式冷凍機を用いて宇宙での超伝導利用を実現します。 冷凍機の寿命の続く限り超伝導ミクサを 4.3 K 程度 (4.32 - 4.64 K) の極低温に保つことができます。 宇宙から超伝導ミクサにより高感度で地球を観測するのは世界で初めての試みです。
大気からのサブミリ波放射は、楕円開口のオフセットカセグレン系アンテナで集光します。この信号は637.32 GHzの局部発振信号とともに、約4.3 Kに冷却された超伝導SISミキサー(Superconductor-Insulator-Superconductor mixer)に加えられ、11 - 13 GHzの中間周波信号に変換されます。中間周波信号はさらに低い周波数へ変換されてから音響光学型分光計 (AOS) により分光され観測データとして得られます。観測データは機器の状態等のデータとともに国際宇宙ステーションのデータ伝送系等を介して、 宇宙航空研究開発機構 筑波宇宙センターにある地上データ処理システムに送られます。
観測対象分子 | O3, HCl, ClO, CH3CN, HOCl, HNO3, O3同位体 | |
HO2, BrO | ||
観測周波数 | Band A | 624.26 - 625.59 GHz |
Band B | 625.06 - 626.38 GHz | |
Band C | 649.05 - 650.38 GHz | |
周波数分解能 | 1.05 から 1.20 MHz | |
受信感度 | 受信機雑音温度 | TSYS: 297 - 380 K |
観測温度精度 | ΔT<0.42 K (0.5秒積分の 1 ch あたり) | |
温度較正確度 | ΔT<1 K 程度 | |
空間分解能 | アンテナ開口径 | 392 mm (鉛直方向) × 200 mm (水平方向) |
アンテナビーム幅 | 0.089° (鉛直方向、半値全幅) | |
高度分解能 | 3.2 km 程度 (Tangent point において) | |
軌道に沿ったサンプリング | 約 360 km 間隔 | |
観測高度域 | 0 - 100 km (約 2 km ごとにサンプリング) | |
観測緯度範囲 | 北緯65°から南緯38° | |
データレート | 44 MB/時間 (ミッションデータ) | |
寸法 | 0.8 m (幅) × 1 m (高) × 1.8 m (長) | |
質量 | 476 kg | |
消費電力 | 約 320 - 500 W | |
打上時期と寿命 | 2009年9月11日打ち上げ、2010年4月21日に観測終了 |